・位相補正をしない場合と、位相補正が5pFの場合は明らかに発振する。しかも、かなり高い周波数での発振で、10MHzオーダーには行きそうだ。こういう発振が出るということは、利得交点周波数がその10MHzオーダーの周波数にあることを表している。

・こういう位置での位相回転は急なので、位相補正はぎりぎり位相を持ち上げて耐えるというイメージでイエスかノーかという感じになる。外乱の影響も受けやすい。ので、なるべく安全方向で位相補正すべきだ。

・以下、位相補正容量値を10pF、20pF、39pFとした場合の1kHz、10kHz、100kHz、1MHzの方形波応答を観ることにより、位相補正容量の適正値を探る。

・なお、どれも2現象で、下が入力波形、上が出力波形。

・先ずはチャンネル1。
No-121 位相補正なし 100kHz 下0.5V/div 上5V/div No-121 位相補正5pF 100kHz 下0.5V/div 上5V/div
 No-121 位相補正10pF 1kHz 下20mV/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 1kHz No-121 位相補正39pF 1kHz
No-121 位相補正10pF 10kHz 下0.1V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 10kHz No-121 位相補正39pF 10kHz
No-121 位相補正10pF 100kHz 下0.5V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 100kHz No-121 位相補正39pF 100kHz
No-121 位相補正 10pF 1MHz 下0.5V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 1MHz No-121 位相補正39pF 1MHz
・位相補正10pFの場合は、1kHzから10kHzまでの方形波応答波形にはぼやっとした滲みがある。高周波の発振が乗っているのだ。100kHz方形波応答波形ではそれが明確だ。そして、1MHz方形波応答に見えるでこぼこがその実態だろうか。10pFではまだ不足だ。

位相補正が20pFの場合と39pFの場合には、このような滲みもなくなり非常に綺麗な応答波形になる。1MHz方形波応答での“でこぼこ”も消滅している。

また、この場合は39pFまで位相補正容量値を増やしても、100kHzや1MHzの方形波応答が丸くなることがなく、要するに高速性が殆ど犠牲にならないことも分かる。

・従って、安全を考えれば39pFとも考えられるが、
結論としては、位相補正は20pFとすることにする。
・次、チャンネル2。
 No-121 位相補正10pF 1kHz 下20mV/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 1kHz No-121位相補正39pF 1kHz
観測せず。
No-121 位相補正10pF 10kHz 下0.1V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 10kHz No-121位相補正39pF 10kHz
観測せず。
No-121 位相補正10pF 100kHz 下0.5V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 100kHz No-121位相補正39pF 100kHz
観測せず。
No-121 位相補正10pF 1MHz 下0.5V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 1MHz No-121位相補正39pF 1MHz
観測せず。
・こちらは位相補正が10pFの場合でも応答波形に滲みが見えず、高周波の発振は乗っていないようだ。このため39pFでの観測は中止した。

・その1とは違った結果だが、まぁ、この辺になると素子の微妙なバラツキ等の影響だろう。

・だが、位相補正10pFの場合、1MHzの方形波応答にはやはり“でこぼこ”がある。位相補正を20pFにすればこの“でこぼこ”は消える。

・よって、結論としては、こちらも位相補正は20pFとする。
  
・参考までに、正弦波応答も同様に観る。
No-121 位相補正10pF 1kHz 下20mV/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 1kHz No-121 位相補正39pF 1kHz
撮影もれ。
No-121 位相補正10pF 10kHz 下0.1V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 10kHz No-121 位相補正39pF 10kHz
No-121 位相補正10pF 100kHz 下0.5V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 100kHz No-121 位相補正39pF 100kHz
No-121 位相補正10pF 1MHz 下0.5V/div 上5V/div No-121 位相補正20pF 1MHz No-121 位相補正39pF 1MHz
・これはチャンネル1だが、10pFの場合の応答波形に高周波の滲みが乗るのは同じだ。

・方形波応答と違って正弦波は正弦波としてちゃんと通るが、イコライズされる領域では位相が遅れている。これに対しイコライズ領域から離れた1MHzの正弦波では位相の遅れが少なくなっているのは当然なのだろうがおもしろい。